コロナ禍における国際結婚と配偶者ビザ申請

※令和4年9月4日より上陸拒否の対象地域がすべて解除され、令和4年10月11日以降はビザ免除措置も再開されています。参考:外務省ホームページ ビザ免除国・地域(短期滞在)

現在、新型コロナウイルスが世界的に蔓延している状況を反映し、日本入国の14日以内に上陸拒否対象の国・地域に滞在歴がある外国人は、入管法第5条1項14号により「特段の事情」がない限り、日本入国が拒否されています。

しかし、日本人・永住者の配偶者又は子については、「特段の事情」があるものと認められることから、これから日本人と結婚する外国人は、日本の出入国在留管理局で配偶者ビザが許可された場合に、日本に入国することができます

新型コロナのため、日本も相手国も入国規制を取っていることから、国際結婚手続きが進まず、離れ離れに暮らさざるを得ないといった新型コロナに伴う国際結婚のご相談を当事務所にも多くいただいております。

以下では、コロナ禍においての国際結婚手続きと配偶者ビザの申請について、下記フローを見ながら解説します。

コロナ禍における国際結婚手続きと配偶者ビザ申請のフロー

  • 日本の市区町村役場に事前確認をする
  • 海外の婚約者から必要書類を送ってもらう
  • 市区町村役場で婚姻届をする
  • 相手国への婚姻手続き
  • 日本の出入国在留管理局に配偶者ビザを申請する
  • 現地の日本大使館・総領事館で査証発給を申請する
  • 日本に入国する

新型コロナと国際結婚手続き

新型コロナのため、自らは日本に住んでいるが、海外に居住する外国人婚約者と国際結婚手続きを済ませ、配偶者ビザを取得して日本で一緒に住むこと望まれているケースについて解説します。

現在、新型コロナの水際対策のため、これまで欧米諸国などを中心に認められていたビザ免除措置が停止されていること、在外日本大使館・総領事館で親族訪問目的の短期滞在ビザも容易に発給されないことから、外国人婚約者が短期滞在ビザで新規に日本に入国することは困難です。

また、コロナ禍では、日本人が海外に渡航し現地で婚姻手続きを行うことも困難であり、外国人婚約者の来日もできないことから、現実的には外国人婚約者が海外に居る状態で海外から必要書類を送ってもらい、日本人婚約者が一人で日本の市区町村役場で婚姻届を提出する方法を取ることになります。

なお、外国人婚約者と海外で一緒に居住している場合は、現地で婚姻手続きを済ませてから、日本の出入国在留管理局で配偶者ビザの申請を行い(両親などの親族が申請代理人となり申請する)、在留資格認定証明書が許可された場合は、その原本を送ってもらい在外日本大使館・総領事館で査証の発給を受けることができたら、一緒に日本に入国します。

市区町村役場での婚姻届

婚姻届の提出予定の市区町村役場で結婚届に必要な書類を事前に確認します。新型コロナのため、外国人婚約者が来日できないことから、駐日大使館・領事館で婚姻要件具備証明書などの発行もできなくなり必要書類が揃わないケースも発生します。その場合、外国人婚約者がコロナのため来日ができないことを市役所の担当者の方に説明し、婚姻要件具備証明書等の代わりになる証明書として何が必要なのかを確認します。具体的には、独身証明書や出生証明書などの身分関係書類をできるだけ多く提出し、本国法により婚姻要件を満たしていることを証明する書類を提出することになるかと思われます。海外の婚約者から必要書類が送られてきたら、市区町村役場で婚姻届を提出します。婚姻届が受理されたら日本側の婚姻手続きは完了します。

相手国への婚姻手続き

戸籍謄本に婚姻事実が反映されたら、相手国に日本で成立した婚姻の報告をします。中国やアメリカなどのように日本で婚姻が成立したら相手国に婚姻の報告が不要なケースや、駐日大使館・領事館のみで報告的婚姻続きが済むケースであれば特に問題はありませんが、相手国の役場に直接出向き婚姻手続きをしなければならない場合には、コロナで相手国への渡航ができず、手続きが進まないケースが発生します。その場合は当事務所までお気軽にご相談ください。

日本の出入国在留管理局で配偶者ビザを申請する

日本と相手国の両国で婚姻手続きが完了したら、日本の出入国在留管理局で在留資格認定証明書交付申請を行います。審査の結果、許可の場合は在留資格認定証明書(日本人の配偶者等)が交付されます。在留資格認定証明書の原本を海外の配偶者に送り、配偶者本人が現地の日本大使館・総領事館で査証発給の申請をします。

在留資格認定証明書交付申請については、当ホームページに詳しく解説をした記事がありますので、参考にしてください。
在留資格認定証明書:配偶者の呼び寄せ

現地の日本大使館・総領事館で査証発給を申請する

在留資格認定証明書の原本を送り、海外の配偶者がそれを受け取ったら、現地の日本大使館・総領事館で配偶者本人が在留資格認定証明書に基づく査証の発給申請を行います。在留資格認定証明書の原本を日本大使館・総領事館に提示して査証の申請をした場合には、法務大臣の事前審査を終えているものとして扱われるため、査証の発給は迅速に行われます。

現在では、観光を目的とする短期滞在ビザは新型コロナの水際対策のため、現地の日本大使館・総領事館で発給の許可はされません。親族訪問を目的とする短期滞在査証の発給についても、事前に日本の出入国在留管理局で在留資格認定証明書を申請するように勧められるケースが多いので、事前に大使館側に問い合わせ、方針に従い申請を行ってください。

無事に在留資格認定証明書に基づく査証が発給されたら、日本への入国ができるようになりますが、外国人を含む海外から日本に入国するすべての人に対して、水際対策として出国前72時間以内に受けた検査結果の証明書の提出をはじめとする措置に従うことが日本政府より求められています。