ベトナム人との国際結婚
ベトナム人の結婚ができる年齢は、男性20歳、女性18歳からになります。
日本に在留するベトナム人は、留学生が80,000人を超え、技能実習生の数は20万人に迫っており、ベトナム人留学生や技能実習生との国際結婚のケースが増えています。ベトナム人婚約者が日本に在留している場合は日本先行の婚姻届をするほうがスムーズです。日本とベトナムの両国で婚姻届が完了したら、配偶者ビザを申請します。
ベトナム先行の婚姻届をする場合は、日本人婚約者がベトナムに渡航する必要があります。
以下では、日本で最初に婚姻届をする方式と、ベトナム先行の婚姻方式について、それぞれ説明をしています。
日本先行の婚姻届
手続きのフロー
- 市区町村役場で婚姻届に必要な書類を問い合わせる
- 駐日ベトナム大使館で婚姻要件具備証明書を申請する
- 市役所(区役所)で婚姻届を提出する
- 駐日ベトナム大使館で報告的婚姻届をする
- 出入国在留管理局で配偶者ビザを申請する
日本先行の婚姻届においては、まずは提出予定の市役所(区役所)で婚姻届でベトナム人との国際結婚に必要な書類を確認することから開始します。
※現在、新型コロナウイルスのため、日本人のベトナム渡航が難しくなっており、また、ベトナム人婚約者の日本への新規の入国もできない状況になっています。⇒参考:コロナ禍における国際結婚と配偶者ビザの申請について
婚姻要件具備証明書を取得する
ベトナム人が留学や就労ビザで日本に住んでいる場合は、駐日ベトナム大使館に出頭し、婚姻要件具備証明書を申請します。短期滞在で日本に来ている場合は、大使館は婚姻要件具備証明書を発行しない運用がとられています。
必要書類
- 婚姻要件具備証明書の申請書(駐日ベトナム大使館にあります)
- 旅券原本と旅券の2ページ目、3ページ目の写し
- 日本の市区町村役場から発行してもらう結婚登録書に自分の名前が記載されていない証明書 (日本在留のベトナム人が日本において結婚をしていない旨を証明する文書)※ベトナム人婚約者在住の日本の市区町村役場にご確認ください。
- ベトナム人当事者在住の町村級の人民委員会から発行してもらう婚姻状況確認書の原本 (ベトナム人の独身証明書)
・日本に留学中、就職中であれば、駐日ベトナム大使館に婚姻状況確認書について問い合わせください。
・技能実習生の場合は、管理団体や所属会社から結婚許可書や承諾書を得る必要があります。 - 法的効力のある日本国内在住の証明書の提示(例 住民票、在留カード)
(参考記事)駐日ベトナム大使館ホームページ
市役所(区役所)で婚姻届を提出する
駐日ベトナム大使館で婚姻要件具備証明書を取得したら、市役所(区役所)で婚姻届を提出します。ベトナム人婚約者がベトナムに居る場合は駐日ベトナム大使館から婚姻要件具備証明書が発行されないため、独身証明書や出生証明書などベトナム本国法で婚姻要件を満たしていることを証明する書類を集めて提出します。提出予定先の市役所(区役所)で婚姻届の必要書類について事前確認をしてください。
必要書類
- 婚姻届(本人と証人2名の署名が必要)
- ベトナム人のパスポートと在留カード
- 婚姻要件具備証明書
- 出生証明書と日本語訳
- 日本人の戸籍謄本
婚姻要件具備証明書が取得できないケース
- 婚姻届(本人と証人2名の署名が必要)
- 独身証明書(婚姻状況確認書)と日本語訳
- 出生証明書と日本語訳
- ベトナム人のパスポートの写し
- 申述書(市役所にあります)
- 日本人の戸籍謄本
駐日ベトナム大使館に報告的婚姻届をする
日本の市役所(区役所)で婚姻届が受理されたら、駐日ベトナム大使館に報告的婚姻届出をします。ベトナム人配偶者が日本在住で婚姻要件具備証明書が発行されたケースでは駐日ベトナム大使館から婚姻証明書が発行されます。
駐日ベトナム大使館で婚姻要件具備証明書が発行されなかったケースでは、駐日ベトナム大使館で報告的婚姻届出が受け付けてもらえないため、ベトナム本国へ婚姻の報告的届出を行い、ベトナムの役場で婚姻証明書を発行してもらいます。
必要書類(駐日ベトナム大使館)
- 婚姻届受理証明書
- 戸籍謄本(婚姻事実記載あり)
- ベトナム人のパスポート
- 日本人のパスポート
必要書類(ベトナム本国の役場)
- 婚姻届受理証明書
- 戸籍謄本(婚姻事実記載あり)
- 上記書類を日本国外務省の公印確認、駐日ベトナム大使館の認証が必要
※届出先のベトナム本国の役場で事前に必要書類について確認を行ってください。
配偶者ビザの申請
ベトナム側で報告的婚姻届が完了したら、出入国在留管理局(入管局)には配偶者ビザ(在留資格「日本人の配偶者等」)の申請をします。入管局への配偶者ビザ申請がベトナム人との国際結婚手続きの中で最難関の手続きと心得てください。入管局に提出する婚姻証明書類は以下になります。
日本人配偶者
- 戸籍謄本(婚姻事実記載あり)
ベトナム人配偶者
- 婚姻証明書+日本語訳
ベトナム人配偶者が日本で在留資格をもって在留中のケース⇒在留資格変更許可申請 リンク先に移動します
ベトナム人配偶者が本国(外国)で生活しているケース⇒在留資格認定証明書交付申請 リンク先に移動します
新型コロナウイルスと配偶者ビザ申請について
現在、新型コロナの水際対策のため、在外日本大使館・総領事館で親族訪問目的の短期滞在ビザも容易に発給されないことから、外国人婚約者が短期滞在ビザで新規に日本に入国することは困難です。そのため、日本の出入国在留管理局に対して「日本人の配偶者等」の在留資格認定証明書交付申請を行い、許可されたら在ベトナム日本国大使館で在留資格認定証明書に基づく査証の発給を受けてから、日本に入国します。
⇒コロナ禍における国際結婚と配偶者ビザ申請について
※令和4年9月4日より上陸拒否の対象地域がすべて解除されています。
フエの風景
ベトナムで先に結婚をする
日本人がベトナム国内でベトナム人と結婚する場合の手続の概要です。
各地方人民委員会での婚姻登録手続については、細かい点において異なることもありますので、実際に手続を行う際には、必要書類について事前に手続を行う地方人民委員会司法局にご確認ください。
ここでは、在ベトナム日本国大使館ホームページの記事を参考にしています。
手続きのフロー
- 在ベトナム日本国大使館で婚姻要件具備証明書を取得する
- 婚姻要件具備証明書を認証してもらう
- 区・県人民委員会で婚姻登録登録し、婚姻証明書を取得する
- 日本の市役所(区役所)で報告的婚姻届をする
- 出入国在留管理局で在留資格認定証明書の申請をする
婚姻要件具備証明書の申請
婚姻要件具備証明書は、在ベトナム日本国大使館または日本の法務局で申請ができます。
在ベトナム日本国大使館で申請する場合
婚姻要件具備証明書には、「独身であって、かつ、婚姻能力を有し、相手方と婚姻することにつき何ら法律的障害がない」旨明記されていることが必要です(「日本国の法令の規定により婚姻可能である」 旨の記載のみでは足りません)。
婚姻要件具備証明書の種類
ア 形式1
申請者本人が独身であり、かつ日本の法令上婚姻可能な年齢に達していることを証明するもの。
イ 形式2
上記アに加え、婚姻相手の氏名を記載し、日本の法令上同婚姻相手と婚姻することに支障はないことを併せ証明するもの。
本人出頭
婚姻要件具備証明書は日本人自身が在ベトナム日本国大使館に出頭し、申請します。
必要書類
ア 証明書発給申請書(大使館に備え付け又はホームページよりダウンロード可)
イ パスポート(提示)
ウ 戸籍謄本(発行日から3か月以内のもの)
エ 婚姻相手の身分証明書(提示)
オ 上記(1)イの形式2を申請する場合、婚姻相手の婚姻状況証明書(公安局発行)
婚姻要件具備証明書等の認証
婚姻要件具備証明書と健康診断書(日本で取得した場合)を在ベトナム日本国大使館で認証してもらいます。
婚姻要件具備証明書(在ベトナム日本国大使館で取得したケース)
ア ベトナム外務省領事局で認証を受ける。
イ 地方人民委員会各区事務所でベトナム語への翻訳を取得する。
婚姻要件具備証明書(日本の法務局で取得したケース)
ア 在ベトナム日本国大使館で「公文書上の印章証明書」(婚姻要件具備証明書に押印されている公印が真正なものであることを証明するもの。)の発給を受ける。
イ ベトナム外務省領事局で認証を受ける。
ウ 地方人民委員会各区事務所でベトナム語への翻訳を取得する。
健康診断書(日本の公立総合病院で取得した場合)
ア 日本国内の公証人役場で公証を受ける
イ 上記アの公証人役場が所属する地方法務局で証明書(上記アの公証が有効なものであることの証明書)の発給を受ける
ウ 日本の外務省又は在ベトナム日本国大使館で「公文書上の印章証明書」(上記イの地方法務局発給の証明書に押印されている公印が真正なものであることを証明するもの。)の発給を受ける。
エ 上記ウにおいて日本の外務省で公文書上の印章証明書の発給を受けた場合、在日ベトナム大使館で認証を受ける。また、上記ウにおいて在ベトナム日本国大使館で公文書上の印章証明書の発給を受けた場合、ベトナム外務省領事局で認証を受ける。
オ 地方人民委員会各区事務所でベトナム語への翻訳を取得する。
ベトナム地方人民委員会司法局での婚姻登録(ベトナム側の創設的婚姻届出)
登録申請窓口
ベトナム人婚約者の本籍のある区・県人民委員会が登録申請窓口になります。申請の際は、当事者のうちいずれか1名が窓口に出頭して書類を提出します。
提出書類(日本国籍者側が用意するもの)
ア 婚姻登録申請書
イ 婚姻要件具備証明書(発行日から6か月以内のものであり、在ベトナム日本国大使館の証明・認証を受けたもの)
ウ 公立の総合病院(診療科目として精神科を含む病院)が発行する健康診断書(自己の意思表示を行う能力を有し、結婚生活に支障がない旨の記載が必要。発行日から6か月以内のもの)
※日本の病院が発行するものについては、関係機関による証明・認証が必要。
エ 日本国籍者の旅券(原本提示・コピー提出。原本を提示できない場合はベトナム公証役場で公証を受けたコピーを提出。)
所要期間
- 登録申請受理後婚姻登録証明書交付までの所要期間は15日以内です。
- 同証明書交付当日当事者二人とも出頭する必要があります。
日本側での報告的婚姻届
- ベトナムでの婚姻登録手続終了後(婚姻成立後)、日本の市役所(区役所)又は在ベトナム日本国大使館のいずれかに3か月以内に婚姻届の届出を行う必要があります。
- 日本の市役所(区役所)で報告的婚姻届をすれば、1週間程度で婚姻成立の事実が日本の戸籍に記載されます
- 婚姻成立日はベトナムの婚姻登録日(登録台帳に記載された日)になります。
婚姻証明書が発行されたら、日本側の市役所(区役所)または在ベトナム日本国大使館に報告的婚姻届を提出します。市役所への報告的婚姻届は日本人配偶者一人でも可能です。夫婦一緒に来日を希望する場合は、婚姻の報告的届出後、日本人配偶者の親族(両親等)に申請代理人になってもらい出入国在留管理局(入管局)で配偶者ビザの申請(「日本人の配偶者等」の在留資格認定証明書交付申請)をします。審査の結果、許可が下りたら在留資格認定証明書の原本を送ってもらい、在ベトナム日本国大使館で在留資格認定証明書に基づく査証(ビザ)発給の申請をします。査証が発給されたら(パスポートに貼付される)、在留資格認定証明書の原本を持参し日本に入国します。
⇒参考:コロナ禍における国際結婚と配偶者ビザの申請について
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配偶者ビザ許可のために
配偶者ビザの申請においては、偽装結婚でなく真実の結婚であること、婚姻の安定性・継続性について自ら立証しなければなりません。配偶者ビザの審査は厳格に行われており、事前に入念な準備をしないで申請した結果、不許可になってしまう可能性も十分に考えられます。
入管当局の審査は入管法令や通達、内規により行われています。配偶者ビザの申請を専門とする行政書士事務所はこれらの法令等に精通し、申請書類を法令等で求められている要件に照らし合わせながら作成するため、許可率はご自分で申請される場合より高くなります。
配偶者ビザ申請は、多くの方にとって初めての経験であり、不安な点も多いかと思います。
当事務所では、ご依頼者様それぞれの状況に応じたオリジナルの申請書類を作成し、配偶者ビザが許可になる可能性を最大限に高めていきます。